ティン・パン・アレーのSIDEWAYS

季節が流れていく。音楽が聴こえてくる。

瞳を閉じて、見えたこと。

tinpan19732006-12-25

週末、関西へ。
大阪から神戸まで知人のクルマで走る。
明石と淡路島を結ぶ橋ができてから
初めての来神ということもあり、橋を渡ってもらった。


初めての淡路島。
12月とは思えない暖かさ、景色は春のように霞がかり、
海は正午の光を浴びてキラキラ輝いていた。


目の前に拡がる圧倒的な眺望。
近くに目をやれば、住宅やガソリン・スタンドの看板。学校のグラウンド。
パノラマのような景観だけでなく、
こうした生活や現実を感じさせる風景にも心が動く。


頭の中をあるメロディーがよぎる。
エスト・ポーチからiPodを出して、
その曲を探し聴く。


♪風が止んだら 沖まで船を出そう〜
荒井由実「瞳を閉じて」。1974年のアルバム『ミスリム』収録。


デビュー直後のユーミンがラジオ番組でDJをしたとき、
長崎の五島列島にある高校の生徒から
「校歌を作ってほしい」というハガキが来て、
それにユーミンが応えこの曲が生まれたという偶然。
後年、この曲は正式に第二校歌のような存在となり、
1988年には歌碑ができ、その除幕式にユーミン本人が出席したという必然。


季節や風景や気分に応じて、頭をよぎった楽曲を
即座に聴くことができる。
iPodを買って良かったなと思う。


コーラスは、シュガー・ベイブという偶然。
亀淵友香さんのLiveコーラスをシュガーがやって、それを客席で
ユーミンが聴いていて、自らのアルバムのコーラスを依頼し実現したらしい。


瞳を閉じて、脳裏をよぎったことは
遠いところへ行った友人へ潮騒の音をもう一度届けたいという思い。
それが、この楽曲の世界。


明石海峡を見下ろし、瞳を閉じて、
私の脳裏をよぎったことは、
すぐ近くにいる人への距離感? あるいは自分と自己との隔たり?
いや、この楽曲を、山下・大貫コーラス、ユーミン・ヴォーカルで
実際にもう一度Liveで聴くことができないかという思い?


眼を開けて、空を見上げると、一筋のひこうき雲が伸びていた。
実は世の中に偶然なんてなくて、
目に映る全てのものには何らかのメッセージが込められている。
これは、同『ミスリム』収録の「やさしさに包まれたなら」の世界。


やさしい気持ちで目覚めた朝は、大人になっても奇蹟は起こる。
というわけで、皆さん、メリー・クリスマス!