ティン・パン・アレーのSIDEWAYS

季節が流れていく。音楽が聴こえてくる。

小説の読み方。音楽の聞き方。

tinpan19732006-12-01

垣根涼介『午前三時のルースター』を読んだ。
数ヶ月前に雑誌『ダ・カーポ』ミステリー特集で、
垣根涼介氏のインタビューが掲載されていて、
その内容と経歴と受賞歴に興味を持ち
ようやく本を入手し読み終えた。


文章は、私好みだった。インタビュー内容から、
「きっとこの人はこういう文を書くのでは…」と想像した通りの文体だった。
修飾語が多くなく、一文一文が短く、キレがある。
読みやすく、どんどんページが進む。ストーリー展開も小気味良い。
物事を見つめる視線の、乾き方と湿り気が、期待通りだった。


先日は、古川日出男『LOVE』を読んだ。
私は、小説に関しては、門戸開放が進んでいるほうだと思う。
続々と出てくる新しい書き手の作品に、次々と機会あるごとに手を伸ばす。


音楽に関しては、こうは行かない。
かなりアパルトヘイトだ。
許容範囲が狭くて、認めた人たちの作品をずーっと追い続ける。


機会創出、をマジメに考えてみようかと思っている。
今、仕事はオフィス内にいることが多い。
J-WAVEが聴ける環境にしてみようか?
社会人になって、新しい音と情報はJ-WAVEから得ることが多かった。
オフィスから流れていたJ-WAVEが、かなり貴重な情報源だった。


それ以前、いつくかの会社や職業を転々としていた時期、
新聞である人物を知った。商品開発やコンセプト・メイクを
生業にされていた方だった。バブル期のヒット商品のいくつかを
開発されたようなのだが、記事で目にした一文に目が止まった。
たしか、「40歳を過ぎても、ビルボードのチェックは毎週かかさない」
というような文面だったと思う。


カッコ悪い。恥ずかしい。
情報なんて空気で伝わるもので、
あるいは自分の属する集団から自然と手に入るもので
それを取りに行く姿勢や努力を評価するのは、ゼッタイおかしい!
と当時の私は思い込んでいた。


あれから約20年、自分が40歳を過ぎて、
ちょっと考え方を改めようかと思い始めた。
いつまでも意固地になっても仕方がない。
限られた音楽家の拡大再生産につきあうだけでは歓びが少ない。
ひょっとしたら、かなりの確率で、縮小再生産なんじゃないか?
憧れたあの人たちの、音楽と、人生の、フェイド・アウトを
きちんと見届けることも大切だとは思うけれど…。


伸び盛りのもの、今が旬のものには、
必ず相応の勢いが、エネルギーがある。
そのエネルギーを浴びる、ほんのちょっとの努力をしてみよう。
今日から師走。 “11月はONの国”が終わって思ったこと。