ティン・パン・アレーのSIDEWAYS

季節が流れていく。音楽が聴こえてくる。

作る・歌うスガシカオ、話す・語るスガシカオ。

tinpan19732006-10-08

今日はスガシカオさんの
新作『PARADE』について。


先日『SMILE』について記したが、
あの作品で感じた閉塞感は感じられず、
いくつかの新境地が感じられて、
聴いていて楽しかった。


サウンド・プロデュースを森俊之氏が担当した
「斜陽」は、私にとって「黄金の月」に匹敵するくらい
好きな森作品に仕上がっている。
“公団”という言葉が詞で使われているが、とてもスガ氏らしいと思った。


森氏以外の方が音作りを担当した作品が、新鮮に響いた。
一聴して「いいな」と思った曲をMDに落として通勤時に聴くのが
習慣なのだが(まだiPod持ってない)、今作は下記の通り。
M1. 奇跡
M4. 斜陽
M5. 夏陰
M8. Hop Step Dive
M9. 真夏の夜のユメ
M11. 午後のパレード


(今、改めて聴き直してM12.「Progress」を忘れていた。
 イイ! 森氏のこのハモンドの入れ方がタマラナイ)


M5,M8,M9は亀田誠治氏、M11は屋敷豪太氏のサウンド・プロデュース。
「午後のパレード」のフィラデルフィア・ソウルがイイ!
1974年、松本隆・作詞、細野晴臣・作曲、矢野誠・編曲、
ティン・パン・アレー・演奏という布陣で、フィリーの本家に逆提供した
スリー・ディグリーズ「ミッドナイト・トレイン」。
あるいは岩崎宏美さん1975年のデビュー曲から6作目くらいまでの
筒美京平氏提供作品のような品を感じる。
(ストリングスの音の品が無いんだ。得てして、日本人がやると)
(もっともこの作品、ストリングスはイギリスで録ったようだが)
スガシカオさんの詞は、
山下達郎さん(「パレード」+「白いアンブレラ」)÷2という印象。


ところで、雑誌『PLAYER』にスガ氏のインタビューが
掲載されていて、書店で立ち読みしたのだが、
例の村上春樹氏の著作で取り上げられていた件、
「村上氏の作品は読んで影響を受けていたので、うれしい」
というような内容だったと思う(うら覚えです)。


昨夜は日テレのNEWS番組にも出演されていたが
(主題歌を作られたよう)、話す・語るスガシカオさんて
“スナオないい人”なんですね。


あの詞から想像するに、もっと屈折したラディカルな発言をされる方だと
勝手に思っていました。


「村上氏の“永遠のボクちゃん”的世界を、読んで分析して戦略的に
 詞の世界に拝借しているので、評価されるのはまあ当然です」
「だって、オトコの心情を歌ったポップスは、
 さだまさし氏の時代からほとんど進歩していないんですから…」
「NEWS番組のエンディング? この手の手法の草分け
 井上陽水氏『最後のニュース』を上回るものはせめて作りたかった」
これくらい挑発的な発言を口にされる方だと思っていた。


11月には初めてライヴを聴きに行く。
大貫妙子さんのメンバーと結構重なるから、
いい思いができるだろう。きっと。
アーティスト・スガシカオとともに、人間・スガシカオ
感じて来ようと思う。