ティン・パン・アレーのSIDEWAYS

季節が流れていく。音楽が聴こえてくる。

30年前の電話線と、今年の梅雨前線。

tinpan19732006-07-25

30年前のちょうど今日(7/25)、
このアルバムは発売された。
昼間、会社でこのことに気づき、
早く家に帰り音を聴きながら、
今これを書いている。


矢野顕子さんのデビュー・アルバム
『Japanese Girl』。最初の5曲は
L.A.でリトル・フィートとセッション。
ローウェル・ジョージに「ギャラは受け取れない」と言わしめたほど、
矢野さんのプレイヤーとしての才気がみなぎり、
テンションの高い演奏が繰り広げられる。


今日のお題「電話線」もその中の1曲。
演奏もスゴイけれど、楽曲もスゴイ。
これ以前も、これ以降も、似たようなタイプの曲を聴いたことがない。
オリジナリティとクリエイティビティがあふれている。


わたしの声をのせた電話線は、
どんなに遠くはなれていても、
丘を越えて山を川を海を超え、
あなたの耳めがけ飛んで行く。
という内容の歌(これから、できるだけ詩の引用は控えるようにします)。


今思うに、アルバム発売から約20年後、
Windows95発売直後のインターネットの世界を表現したような歌だと思う。
電話一本あれば世界中、いつでも、どこでも、だれとでも、つながる。


やることが、20年早かった
と同時に、この曲のロマンティシズムは、
糸電話を思わせるプリミティブなところに在るのかも知れない。


時代がどんなに変化しても、道具がどんなに進化しても、
伝えたいことは「あなたが好き」という思いであって、
それは太古の昔から変わらない。
その「好き」っていう感情は、性的な意味での「好き」だけじゃなくて、
もっと大きくて、広くて、深かったりするんだよな。


などということを、30周年の今日、
部屋の窓から空を見上げながら考え綴る。雨は上がったようだ。


携帯電話がこれだけ普及した今になると、
電話線の「線」がちょっと違和感か。
イヤイヤ、時代と一線を画したこの名曲について
ちょうど30年後の夜に記したんだ。
梅雨前線なんて、一気に押し上げてくれるはず。