ティン・パン・アレーのSIDEWAYS

季節が流れていく。音楽が聴こえてくる。

天国の靴下〜長調と短調のデッド・ヒート〜

tinpan19732006-06-15

時間の国のアリス」の話が途中だった。


私は1984年5〜6月に松田聖子さんが
歌われていたこのシングルよりも、
1年前1983年の同時期に歌われた
天国のキッス」のほうが好きだ。


作曲は細野晴臣さん。満を持しての
聖子シングル作品への細野さん起用だったように感じる。


ユキヒロ氏が叩いているとしか思えないドラムや、
BUZZ東郷兄弟のコーラスなど、サウンドもスゴイが、
楽曲自体もスゴイ!


♪ビーズの波を空に飛ばして 泳げないふりわざとしたのよ
最初の2小節(4?)が長調で、「泳げない〜」からが短調
このパターンがもう1回繰り返される。


北に大陸の春の高気圧、
南に太平洋の夏の高気圧。
2つの高気圧がバトルして梅雨前線が生まれ雨を降らすように、
川中島で対峙する上杉謙信氏と武田信玄氏のように、
メジャー・コードとマイナー・コードがせめぎあう。


ユーミンも、こういった曲をアイドルに提供している。
1975年アグネス・チャン「白いくつ下は似合わない」。


♪私の瞳に映ったあなたが 誰かと腕組み遠くへ行ってしまう
やはり曲の頭の歌い出し、最初の「〜あなたが」までが長調
そこから「〜行ってしまう」までが短調
こちらも、このパターンがもう一度繰り返される。


アイドルの揺れる胸の内を表現するには、こういった
メジャーとマイナーがせめぎあうコード進行は、
ピッタリなのかも知れない。


調性のゆらぎ。
それを作為的でなくナチュラルに聴かせてしまうところが、
ホソノさんとユーミンのスゴイところだと思う。