ティン・パン・アレーのSIDEWAYS

季節が流れていく。音楽が聴こえてくる。

オンガクさんへのLOVE SONGS。

tinpan19732006-05-16

最高気温が25℃を超えると、
「SPARKLE」が解禁になる。


その年、初めて『FOR YOU』を聴くのは、
私の場合ほぼ毎年大型連休のころである。


このアルバムはやはりいい。
楽曲も、録音も、スバラシイ。
真夏よりも5月に似合うアルバムだと思う。


去年は「LOVE TALKIN'」が私の中でブームになった。リヴァイバルした。
今年は「MUSIC BOOK」がキテいるようだ。


作詩者・吉田美奈子さんは、21世紀になると、自らのアルバムで、
音楽そのものをテーマに多くの曲を作られている。
音楽に対する自らの思いや行いを歌った「音楽の言葉」。
もしこの世の中に音楽が無かったら
E.T.と交信もできなかったはずと歌う「ENCOUNTER」。
世界中の切なさや優しさを歌う旋律を届けたい「星の夜」。
ほかにも「音楽の魔法」や最新作でも「FUN!」等、キラリと光り輝く
オンガクさんへのLOVE SONGたちである。


「音楽の神様がもし存在するとしたら、その神様の前で嘘を付きたくない」
と『REVELATION』発売時のNHK番組で美奈子さんはコメントしている。


対象が人間でない分、色恋を超えた、
もっと純で聖なるものが表現されているように感じる。


吉田美奈子さんの、こうした音楽を題材にした楽曲たちは、
山下達郎さんのアルバムへの提供曲にも見られ、
そこでひとまず完結しているというのが私の解釈である。


美奈子-達郎コンビの極初期の作品といわれる
76年「ラスト・ステップ」(『サーカス・タウン』『FLAPPER』収録)
でも、その萌芽を見ることができるが、
“なにもかもうまくいかない日は好きなメロディーを口ずさんでみよう”
と歌う78年「ついておいで」(『GO AHEAD!』)あたりが、
この路線の本格的なスタートで、“誰かを誘って聴きにおいでよ”と
軽快に歌う79年「FUNKY FLASSIN’」(『MOONGLOW』)へと続き、
“メロディーの雨が肩を濡らし、さわやかなハーモニーをもって弾む”
82年のこの「MUSIC BOOK」で第一期は完結するのだと思う。


美奈子-達郎のハーモニーも82年をもって聴かれなくなり、
95年に2曲復活しつつも、あれからまた11年が過ぎてしまった。
今年あたり、ぜひ、また聴かせてほしいものだ。