ティン・パン・アレーのSIDEWAYS

季節が流れていく。音楽が聴こえてくる。

『かもめ食堂』、ひらがな4文字と陽水氏。

tinpan19732006-04-04

私の周囲で話題の映画『かもめ食堂
を観た。週末はとにかく混んでいる
らしく、平日夜に行こうと思っていて、
やっと行けた。映画もかなりイケてた。


小林聡美さん、もたいまさこさん、片桐はいりさん、
この方々がスバラシイのは当然として、
監督・脚本の荻上直子さん、タダモノじゃないと思った。
UCLA大学院映画学科で学ばれ、
作品は「バーバー吉野」「恋は五・七・五!」等。
昨年の「やっぱり猫が好き2005」を拝見して以来、注目していた。


大きな事件は起こらない。フィンランドヘルシンキを舞台にした
ということ以外は、何てことのない淡々とした日常が描かれている。
その淡々としたカンジが、何とも云えない「ほのぼの」「しみじみ」
といった、ひらがな4文字の和み感を醸す。


フィンランド政府観光局がスポンサードしていたが大正解だと思った。
限りある予算で交通広告や新聞・雑誌広告を打つよりは、
このような映画をスポンサードするほうが効果があると思う。
フィンランドへの旅行客が、この映画の前後でどう変わるか?
いっしょに観た人と話題になったほどだ。


映画全体のトーンとして、温度も湿度もカロリーも控えめに感じた。
唯一、トーンが異なったのが、エンディング・テーマ。
井上陽水氏「クレイジー・ラヴ」、
1980年発売のアルバム『EVERY NIGHT』収録曲。
後に、1999年のフジテレビのドラマ『アフリカの夜
室井滋さん、佐藤浩市さんらが、いい味出していた)
の劇中歌としても使用されシングル・カットされた曲でもある。


編曲は、鈴木茂氏。正調ロック的アレンジと、
陽水氏のヴォーカル(上手い!)とが結構濃い世界を醸し、
それまでの控えめな世界と不思議にマッチしていた。


このころの陽水氏だと、『EVERY NIGHT』の前作
『スニーカー・ダンサー』(1979年)が好きだった。
タイトル曲は、高中正義氏・作曲&編曲、
当時高校生の私には、茂氏より高中氏のほうがアイドルだった。