ティン・パン・アレーのSIDEWAYS

季節が流れていく。音楽が聴こえてくる。

彼らの節目、彼らの変化。

tinpan19732006-03-28

3/21にリアル30周年をお祝いすると
記しておきながら、1週間すぎてしまった。
アルバム自体もこの週末にようやく入手。
どうもここのところ、慌しさや忙しさに
追い立てられる日々が続いてしまっている。


ナイアガラ・トライアングルVol.1』、祝30周年。
このCDは、86年発売の吉田保氏ミックス盤を、
80年代の終わりに下北沢RECO Fanで探し当て
(見つけたときは驚喜した!)、このバージョンしか
持っていなかったので、今回の30周年記念盤は
ボーナス・トラックもあり(少なかったけど)、迷わず購入した。
(『SONGS』30周年記念盤は、94年時にオリジナル・ミックス+ボーナス・
トラックでイースト・ウェスト盤が発売され、大々的なプロモーションで
相応の商業的成功を収めたため、「何度も旧譜で商売してほしくない」
という心理的抵抗があったが…)


「ドリーミング・デイ」「パレード」、冒頭のこの2曲を聴くだけで、
キモチ良くなってしまう。上原D、寺尾B、山下G、坂本Kの、
見方によっては最終期シュガー・ベイブとでも呼ぶべきリズム隊に、
ホーン・セクションと達郎+美奈子のコーラスが絡む。
山下達郎村松邦男大貫妙子シュガー・ベイブ3人+吉田美奈子という
コーラスの組合せが74〜75年ごろは多かったが、
声の質と量と域の関係で達郎+美奈子の組合せが最もしっくりきたらしく、
(出典は93〜95年『BRIDGE』ロッキン・オン社の一連の達郎氏登場号)
この76年ごろからコーラスと、加えてソング・ライティングの黄金コンビ
として数々の名演と名曲を届けてくれた。その極初期のコラボレーション
が聴ける貴重な記録である。


あとは、やはり、坂本龍一氏のキーボード・プレイ。
達郎氏提供曲のセッション以外にも、バイ・バイ・セッション・バンド
つながりの伊藤銀次氏提供曲でも、大瀧氏提供曲(『ナイアガラ・ムーン』
アウトテイクの「夜明け前の浜辺」を除く)でも、ほぼアルバム1枚、
今となっては貴重な教授のバッキングを聴くことができる。


レコード・コレクターズ』当アルバム特集記事を読んだ影響もあり、
この30周年記念盤を拝聴して、「幸せにさよなら」が改めて好きになった。
名曲だと思った。銀次氏の声がどうも苦手でそれまで距離があったのだが。
(私は男性ヴォーカルの許容範囲がとにかく狭い)

ただのキャッチーでメロディアスな曲と、名曲とのちがいは何だろう?
技術でなく、曲の背後に物語があるか否かだろうか。


ところで、この76年は、シュガー・ベイブは解散し、
ナイアガラは販売元コロンビアで生まれ変わり、
達郎さん、大貫さん、矢野さんは、ソロ・デビューし、
美奈子さんは名作と評価される『FLAPPER』を発表。
荒井由実さんは松任谷由実さんになり、
細野さんはソイ・ソース・ミュージックを展開し、
教授はプレイヤー、アレンジャーの第一人者へ。
大きな変化の年である。


10年後の86年も、96年も、この方たちにとって
末尾6の年はかなりの節目になっていると思われ、
トリノ五輪のころ、教授を例に記したと思う)
何を隠そう私も6の年は何かが大いに変わるのだ。
変化に対して前向きでありたい
と、この『ナイアガラ・トライアングルVol.1』を聴いて
改めて思いました。