ティン・パン・アレーのSIDEWAYS

季節が流れていく。音楽が聴こえてくる。

サイバー・パンクと猫の街。

tinpan19732006-03-23

仕事で久々に幕張を訪れた。
90年代の終わりに、PC Expoとかのエキシビションで訪れて以来だと思う。この街が注目されだした80年代の終わりは、それこそ深夜ドライブで東関道を飛ばしてはるばる来たりしたものだ。
などということを朝、駅で降りて目的のビルまで歩きながら想い出していた。


天気は小雨がパラつく曇天。
そう。こうでなくちゃ! ウィリアム・ギブソンニューロマンサー』の世界。
サイバー・パンクだ。映画『ブレード・ランナー』やフィリップ・K・ディックの原作『アンドロイドは電気羊の夢を見るか』(タイトルからしてGood!)にも通じる、「決してバラ色じゃない近未来」のイメージ。
(これが、晴れ渡って春!という天気だと、ゼンゼンちがうことを感じたはず)

ウィリアム・ギブソンは、YMOのファンであられた方らしい。
サイバー・パンクの傑作と云われる『ニューロマンサー』というタイトルからして、たしか高橋幸宏氏のアルバム名「ニュウロマンティック」からネーミングされたはず。再生YMO『テクノドン』でもギブソン氏は、リーディング用の詩を提供されていたと思う。
ニューロマンサー』には、実際のニッポンのChibaが登場して、ゴースト・タウンとなってスラム化していく世紀末(20世紀末か?)が描かれていたはず…。


80年代終わり、世はバブル(この言葉が生まれたのは崩壊後だったけれど…)。僕は仕事を転々とし、節目節目に『ニューロマンサー』なんぞを読んで、時々夜中幕張までクルマを飛ばし、「この街、21世紀になったら消滅するな」などと世紀末願望に浸ったりしていた。ヘンな自信と、ヘンな不安があった。そんな自分を想い出したくなくて…、『ニューロマンサー』を探したくない。読み返したくない。
2006年になった。幕張はまだ存在していたし、僕は何とか今日も生きている。


仕事が終わり、駅に向かった。陽は落ちようとして、制服を来た学生たちとすれ違う。
この人工的な街にも何か生活の匂いを感じた。あるメロディーが頭をよぎった。
♪果てしなく広がる街から一人離れて〜
矢野顕子さん「DAVID」。そうだよ。『やっぱり猫が好き』の第二章だって幕張じゃんか!
もう、ウィリアム・ギブソンを想い出して、重くなってしまったじゃないか。『やっぱり猫が好き』、今年は新作を届けてくれないのかな? そろそろ改編期で、この時期テレビで見せて、後ほどDVD発売というのがパターンだと思うのですが。