ティン・パン・アレーのSIDEWAYS

季節が流れていく。音楽が聴こえてくる。

書かせるデザイン、歌わせるベース。

tinpan19732006-02-14

引っ越して4日が過ぎた。
以前のYahoo!に比べて、画面表示や転換がスムーズで扱いやすくなった。文字の大きさや書体もかなり自分好みになり、書きやすくなっている。ただ、Enterキーの使い方が、今ひとつ慣れない。私は文章を、然るべく文節で改行したがるタイプなのだが、このはてなは、改行よりベタ打ちに適したテンプレートのようだ。したがって文字数も以前より多くなりがち。量的に、かなり語るようになっていると思う。
私は、90年代のほとんどをコピーライターとして過ごした。デザイン優先の仕事のときなど、「このスペースに1行25文字前後×20行のコピーを」などと要求され、ヒーヒー言いながら文字数を合わせたりしたものだ。デザイナーというかデザインとの相性というのは当然あって、思いがけず良いコピーが書けたときなど、自分の能力を引き出してくれたデザインに感謝したりしたものだ。これは私程度の者だけでなく、超大御所コピーライターの方もそのようなことをおっしゃっておられた。

これと同じことが、ヴォーカリストの歌と、バックのサウンドとの間にも云えるのではないだろうか?

大貫妙子さん1990年のアルバム『NEW MOON』の中の1曲「風の吹く街」では、何と細野晴臣氏のベースが聴ける。
90年当時、細野さんがベーシストとしてスタジオ仕事をされることは実に貴重で、アルバム発売時に雑誌『ベース・マガジン』が、二人の対談を企画したほど。細野さんに依頼した経緯について、大貫さんは次のように語っている。
「ホンっトに、ベースをちゃんと弾ける人がいないんですよ。私は歌うとき、いつもベースを頼りに歌っているんだけれど、ツアーでも毎回ベーシストが変わっているほど。そこで、今回は畏れ多くも細野さんにお願いした次第…」。
この「風の吹く街」、細野さんのベースは勿論、小倉博和氏のアコギと八木のぶお氏のハーモニカが印象的な、味のあるミディアム・ナンバーに仕上がっている。私は90年来、梅雨明けが近いころ必ず聴くカレンダーのような曲だ。
そういえば吉田美奈子さんも、この10年アルバム&ライヴでジョイントされているベーシスト岡沢章氏のことを「私の音楽の神様のような存在」と評されていたっけ…。

コピーに書かせるデザインがあるように、ヴォーカルにとっては歌わせるベースがあるようだ。