ティン・パン・アレーのSIDEWAYS

季節が流れていく。音楽が聴こえてくる。

筒美作品のサイドウェイ。

tinpan19732006-05-02

BSフジで2年前放送された「Hit Song Makers」
筒美京平氏の回を観た。読みたかった本や、
観たかった番組や映画、聴きたかった音楽に
接する。連休ならではの行為だ。


ちょっと重いことを考えてしまったので、
軽やかに雑記風に記すことにする。

●橋本-筒美コンビの初の大ヒットは「ブルー・ライト・ヨコハマ」だそうだ。
 1968年、私が5歳のとき初めて買ったシングル・レコードだった。

●現在というか2004年のいしだあゆみさんが、68年当時の曲
 「絵本の中で」を番組内で歌った。イイ! ボサノヴァ調の曲に、
 リアルとヴァーチャルを巧みに対比した詩(のように聴こえた)。
 新譜として聴きたいくらいだ。

松本隆氏と京平氏の初対面は73年らしい。
 『摩天楼のヒロイン』サンプル盤を持って行って、
 「趣味で音楽がやれていいよね」というようなことを云われたそうだ。
 9割イヤミ・1割ホンネか。ところで、お二方の初仕事は、
 何なんだろう?(太田裕美さん「雨だれ」になるのかな?)

●「雨だれ」から「木綿のハンガチーフ」までの売れなかった2曲
 「たんぽぽ」と「夕焼け」、個人的に好きな曲である。
 ♪あなたの声が聴きたくて 街の電話をかけたのに〜
 ♪あなたに会えた眩しい夏が 目に浮かぶ夕焼け〜
 詩を「あなた」で始めたことが敗因かも知れない(深い意味はない)。

太田裕美さんでいちばん好きなシングルは「恋愛遊戯」だったりする。
 1977年5月発売で松本/筒美作品だったと思う。初夏の晴れた日に
 似合う楽曲だ。この前のシングル「しあわせ未満」も好きだ。
 世間的にはこの次の「九月の雨」が、この年の太田さんの代表作か。


謡曲が身近だったロー・ティーンのころ、天地真理桜田淳子
好きだった。けれど、この二人、ダサイ曲が多くて、
音楽としては、南沙織「ひとかけらの純情」「想い出通り」とか
麻丘めぐみ「森を駆ける恋人たち」「雪の中のふたり」が好きだった。
たぶん、これ、ぜんぶ筒美作品だと思う。
桜田淳子唯一の筒美作品「ひとり歩き」は名曲である。


あと、密かに誰かがカヴァーしないかな?
と思っているのが、76年ごろの郷ひろみ作品。
「恋の弱味」とか名曲だと思う。近田春夫氏も「考えるヒット」が
週刊文春』でなく『POPEYE』で連載されていたころ絶賛されていたはず。


郷ひろみ「男の子女の子」「よろしく哀愁」以外にも、
南沙織「17才」「色づく街」以外にも、
太田裕美木綿のハンカチーフ」「赤いハイヒール」以外にも、
麻丘めぐみ「芽ばえ」「私の彼は左きき」以外にも…、
ひとりのシンガーの代表曲以外でもGood Jobをされているのが、
(その代表曲以外にボクは心ときめかされた)
きっと筒美京平氏のスバラシさなのだろう。


本当は、もっと正面から筒美氏について、あの時代の職業作家の偉大さに
ついて語り、あんな時代はもう二度と来ないという話にしたかったけれど、
知識と情報が不足しているので、あくまで本日は
「70年代歌謡曲サイドウェイ(脇道)」ということで…。