ティン・パン・アレーのSIDEWAYS

季節が流れていく。音楽が聴こえてくる。

甦る奇蹟と、奇跡の向こう側。

NHK「みんなでエール」を見て、久々に記す。

 

やさしさに包まれたなら」はいい曲だった。好きな曲だった。

 

ただ、私が、ユーミンのライブに通った10代後半から20代半ば、

80年代始めから終わりにかけて、

この曲をライブで聴くことはほとんどなかった。

セカンド・シングル、荒井時代の名曲だが過去の曲という扱いだったと思う。

 

ざっと記憶しているだけでも1979年「マジカル・パンプキン」ツアーを最後に、

1988年「ディライト・スライト・ライト・キッス」ツアーまで、

この曲がツアーのセットリストに登場することはなかったと思う。

 

久々に歌われたのは、1989年「ラブ・ウォーズ」ツアー。

(念のため過去のツアーを総括した昨年のベスト・アルバム・ツアーのパンフで調べた)

当時、宮崎映画「魔女の宅急便」の主題歌か挿入歌に使われた関係で、

久々にセットリスト入りした。

 

この曲が、ここまでメジャーになったのは、この宮崎アニメに使われたことが大きいと思う。

ちなみに「ひこうき雲」にも、同じことが言えると思う。

 

僕にとっては、「やさしさに包まれたなら」は不二家のCM曲。

この曲を聴くと、70年代半ばの日曜日の朝を思い出す。

ニッポン放送不二家・歌謡ベストテン」で、必ず流れていた。

DJだったロイ・ジェームズさんの声とともに、あの頃が甦る。

 

(この曲の次のCMソング、

 ♪ソフトエクレア 風のセロファンで 包んだ綿雲なの

  ほっぺたにプレゼント 不二家ソフト ソフトエクレア

 これも楽曲化してほしい。

 まだ荒削りだが、メロディーやコード進行に、

 作為でない天才を感じさせたユーミンを堪能できる曲)

 

それから、番組「みんなにエール」についてもひと言。

武部さんの発案、松任谷正隆さんに話をして、縁あるミュージシャンに呼びかけ、

皆で歌った様子はとても良い映像になっている。ジ~ンとする。

 

ただ、アナザーサイド。NHK側にどう話を持って行って、どんなやりとりがあって、

このアウトプットになったのか? 妥協した部分、ボツになった部分、

奇跡の向こう側をチラ見させてくれるのも、美談の向こうのリアルをある程度提示してくれるのも、

ウイズ・コロナ時代のエール」の正しい在り方では?

と思ったりした。